企業の45%が生成AIを利用、日常業務では80%超の企業が利用成果を認識 =JIPDECとITR調べ=

日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)とアイ・ティ・アール(ITR)は14日、国内企業1110社のIT戦略策定または情報セキュリティ施策の従事者を対象に、1月に共同で実施した『企業IT利活用動向調査2025』の結果を発表した。

現在、生成AIへの関心が非常に高まっている。生成AIの利用状況について質問したところ、「全社的に利用が推奨され、幅広い業務で利用されている」が15.9%、「必要性の高い特定部門での利用に限定されている」が29.1%となり、合わせて45.0%の企業がすでに生成AIを利用している状況にある。また、「一部のプロジェクトやチームで試験的に利用され、効果を検証している」は26.3%となり、生成AIを利用する企業がさらに増えていくとみられる。

次に、生成AIを全社的に利用している企業と特定部門で利用している企業を対象に、業務における生成AIの活用効果について質問したところ、「日常業務の効率化」については、45.2%が非常に効果が出ている、38.8%がある程度効果が出ていると回答した。電子メール文や資料作成、データ入力、調査などの日常業務では、80%超の企業で生成AIの活用効果を認識していることが分かった。

次いで、「分析・レポート作成」も79.6%と多くの企業で活用効果が出ている。その他、「文章の要約・翻訳」「会議の効率化」「マーケティング」など、調査設問にあげたいずれの業務でも、効果が出ていると回答した企業が60%を超えました。生成AIを利用している企業の多くは、さまざまな業務で一定の活用効果をあげていることが読み取れる。

生成AIを利用していくうえでのセキュリティやプライバシーに関する不安や懸念点を質問したところ、生成AIを全社的に利用している企業では、「社内の機密情報(個人情報含む)が生成AIに入力され、それが外部に漏えいする」が最多の59.9%となった。

この結果から、生成AIの利用においては多くの企業が情報管理のリスクを強く意識していることが分かった。特に、従業員が無意識のうちに機密情報を入力してしまうケースや、適切なアクセス制御がされていないケースなどで、生成AIを利用することによる情報漏えいなどが懸念されている。この点は特定部門で利用している企業でも3番目に多い懸念点となっている。

特定部門で利用している企業での最多は、「生成AIが出力した偽情報や誤った内容を信じて業務に使用する」が59.1%に上り、ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)に対する懸念が大きいことが明らかになった。ハルシネーションリスクは、意思決定や業務の正確性に大きな影響を及ぼす可能性があるため、十分に注意する必要がある。

さらに「生成AIが出力した情報に倫理的または道徳的な問題が含まれる(例えば差別的表現や誤解を生む内容など)」の回答も多く、これらのリスクも重要な課題と認識されていることが分かった。差別的な表現や誤解を招く内容が含まれることで、企業のブランドイメージの毀損や法的リスクにつながる可能性がある。

これらの懸念を踏まえると、生成AIの活用には慎重な運用が求められる。企業は、情報漏えいを防ぐための利用ルールを明確にし、従業員のリテラシー向上を図るとともに、AIの生成結果を適切に管理・監視する仕組みを整えることが不可欠となる。

DX(デジタルトランスフォーメーション)を実践している企業に対して、具体的な取り組み内容とその成果について質問した。社内の業務や働き方に関するDXを「内向きのDX」、顧客向けの新たな製品やサービス、マーケティングに関するDXを「外向きのDX」と分類した。

「内向きのDX」で最も取り組みが進んでいるのは「業務のデジタル化・自動化」であり、52.1%の企業で成果が出ており、次いで「ワークスタイルの変革」では36.3%で成果が出ている。「意思決定の迅速化・高度化」では33.3%が成果が出ているとした一方で、まだ成果が出ていない企業は41.7%となった。

また、「従業員間のコミュニケーション/コラボレーションの活性化」と「ビジネス環境変化に柔軟に対応できる新たな組織作り」も、まだ成果が出ていない企業の割合の方がより高い状況にある。「内向きのDX」では、業務のデジタル化は比較的順調に進んでいるものの、意思決定の迅速化やコミュニケーションの活性化、組織の柔軟性向上といった、企業文化に関わる変革は依然として課題となっていることが分かった。

一方、「外向きのDX」において最も成果が出ているのは、「顧客体験や顧客接点のデジタル化」で30.9%に、次いで「データに基づいた営業・マーケティングの高度化」が29.4%となり、顧客エンゲージメントを向上させるための取り組みが先行している。「新たな製品・サービスの創出」や「新たなビジネス機会に向けた他社との共創やエコシステムの構築」といった、新しいビジネスの創出や機会に向けた取り組みはやや遅れていることが分かった。「外向きのDX」の取り組みは、いずれも取り組んではいるが成果が出ていない割合の方がより高い結果が見て取れる。今後、成果を出していくためには、データの活用をさらに深化させ、デジタル技術を活用した新たな製品やサービスの開発に挑戦することが重要となる。

本調査は、JIPDECとITRが2025年1月17日から1月24日にかけて実施したもの。調査は、ITRの独自パネルに対するWebアンケート形式で実施し、従業員数50名以上の国内企業に勤務しIT戦略策定または情報セキュリティ施策に関わる係長職相当職以上の役職者約1万7000名に対して回答を呼びかけ、1110名の有効回答を得た(1社1名)。

◆報告書の詳細(PDF)

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