デジタルイノベーションで脱炭素化社会の実現を目指すCleanTech(クリーンテック)企業のアークエルテクノロジーズは5日、業界初のAIによるダイナミックプライシングを活用した電力サービス「アークエルエナジー」の提供を開始すると発表した。
「アークエルエナジー」は、利用者のニーズに合わせて2つの料金プランからCO2フリーなクリーン電力の購入方法を選べる電力サービス。
「DPプラン(ディーピープラン)」は、AIを活用し、変動する価格で電力を購入できる業界で初めてダイナミックプライシングを活用したプランで、電気料金を節約したい人におすすめだという。月々1000円(税別)の利用料を支払うことで、30分ごとに変動する電気料金を原価で購入できる点が最大の特徴で、利用者は事前にLINEで通知された電気料金を参考に、安いタイミングで電気を利用することで、家庭の電気料金を1〜3割節約することが可能。また、電力小売市場では、クリーン電力の供給量が増加する昼の時間帯に電気料金が安くなる傾向にあるため、本サービスが普及し安価な電力の利用を促進することで、クリーン電力の有効活用促進を狙うという。
「フラットプラン」は、100%クリーンなCO2フリー電気だけを使用しており、基本料金無料で、使用量に応じて電気料金を支払う従量料金プラン。一般的な電力会社とは異なり、どれだけ電力を使用しても1kWhあたりの単価が変わらないため月々の支払い料金を抑えることができるうえ、クリーン電気だけを使いたい人におすすめだという。
菅首相が、就任後初の所信表明演説で、環境対策で先行するEU同等の目標である「温暖化ガス2050年実質ゼロ」にする方針を示し、エネルギー業界では産業構造の転換が迫られている。さらに、気候変動問題が年々深刻化する中、「環境保全や地域・社会のことを考慮して作られたモノ」を購入する「エシカル消費」が生粋のデジタルネイティブ世代である現在16歳~24歳のZ世代を中心に増加するなど、世界的に環境志向が高まっている。
一方、日本におけるCO2フリーなクリーン電力の提供は、先進する欧米に遅れをとっている実態があり、二酸化炭素の約6割が発電と運輸部門から排出されていることから、温室効果ガス排出量を削減するためには、クリーンエネルギーの活用や車両の電動化が求められている。
また、太陽光発電などクリーンエネルギーの導入が進む九州では、季節や時間帯によっては電力需要を大きく上回るほどの電気が発電され、電気が余ってしまうという実態があるという。実際に、よく晴れた春と秋に太陽光発電の出力を制御することが多くなっており、2019年は48日間の出力制御が発生し、一般家庭1万世帯分の年間電力需要に相当する量のクリーン電力が余っている。同社では余剰となっているクリーン電力を有効活用することが脱炭素化社会を実現する1つの手段になると考え、新サービスの提供に至ったという。