日本気象協会とSpectee(スペクティ)、トランストロンは18日、2021年2月、AI等の先進技術を活用した車両の運行データの解析により、運送事業者の安全な運行を可能にするための路面情報や周辺気象情報の抽出を目的とする実証実験の覚書を締結し、2021年6月末までの期間でこれを実施したと発表した。
実証実験では、トランストロンの製品であるデジタルタコグラフを導入している運送会社、幸楽輸送及び池田運輸の協力を得て、走行中に取得した路面の画像データを、日本気象協会の気象データとともにスペクティのAIで解析を行い、乾燥、湿潤、凍結、積雪といった路面の状態を判定した。本実証実験を通じて、実用化に向けた有効なデータが得られたため、今後は精度向上に努め、3社で実用化に向けて検討を進めていくという。
IoT・ビッグデータ・AI等の技術革新がもたらす社会の大変革の中で、2018年に閣議決定された「未来投資戦略」において、情報社会の次の「Society 5.0」という概念とともに「データ駆動型社会の共通インフラの整備」が重点課題として挙げられた。
「データ駆動型社会」とは、現実空間にある多様なデータをサイバー空間に取り込んで解析し、そこで生み出された知識や価値を現実の社会問題解決や産業の活性化に活かそうというもの。こうした社会を実現するために、多様なプレイヤーが様々な取り組みにチャレンジすることが重要。
今回の3社による取り組みは、デジタルタコグラフから取得した現実世界のデータを、サイバー空間でAIを用いて解析し、それを現実社会にフィードバックする、まさに「データ駆動型社会」を体現した取り組みとなる。今回の実証実験の結果を基礎にして、今後さらに試行を重ね、早期の社会実装に結び付け、防災等への活用を進めていく考えだという。