長野県信濃町と、信濃ロボティクスイノベーションズ(SRI)は、長野県信濃町において、自動運転草刈試作機による実証実験お披露目会を11月22日実施する。
この自動運転草刈試作機は、地方創生推進交付金 IoT・ロボティクスの導入による中山間地域の農業生産性向上とローカルICT産業の振興事業「信濃町農業IoT実装推進環境開発業務」として、2019年からSRIが受託開発を進めてきたもので、人口減少地におけるロボットの社会実装にむけた自動草刈機(主に制御)の試作・運用、農業を支援するサービス産業化を目指した環境構築・検証を行い、運用に関するオペレーション検証やデータ収集と、今後の具体的な課題を集めることができたという。
SRIでは2019年から、ロボティクス・IoT技術を活用し、稲作用地の畦畔部を主たる対象とする自動草刈機運用の実現を目指し開発と環境整備を行ってきた。本会は、信濃町の農業関係者や、メディアを対象として、この成果を現地での成果お披露目会として開催するもの。
地方では過疎化の影響で深刻な労働人口の縮小・流出により、年ごとに地域農業の持続的継続が困難なものになっている。こうした傾向は、今回の実証地である長野県信濃町に限らず、日本全国において全域的にみられ、大きな社会的課題となっている。
一部では、若者による農業事業への回帰を喚起し、これを回避しようとする活動も行われていますが、農業を持続的に事業として継続するためには、農作物の育成・収穫以外にも付帯的に発生する非生産的な負担作業があり、これが農業労働意欲を削ぐ大きな要因となっている。本事業の背景として行った調査業務では、この負担作業として特に上げられるものに耕地の草刈り作業があった。
長野県信濃町での実測では、稲作における草刈り作業に対して、1反(10a)あたり、およそ2時間程度の作業を、シーズン中に3回程度実施する必要がある。こうした非生産的作業は、忌避したい反面、怠ることができない作業種となっている。このため費用を支払って外注することもあり、この場合、10haあたり15万円程度の費用がかかり、農業経営においては重たい見えない負担となっている。
本事業では、こうした農業における作業種を、ロボティクス・IoT技術を用いて自動化を図ることで、前述に見たような社会課題の解結・軽減を図ることを意図し、初年度の調査業務を経て、自動草刈機の主に制御部分における試作機開発を行ってきた。
ハード面のみの開発に留まらず、ソフト面にも注力し、複数台のロボットを遠隔監視運用(Telemetry over Internet技術、利用データの集積など)や、スマホから操作を行うプラットフォーム「Symphony_Base」の開発を進めてきた。それにより、現地従事者のロボット運用に対するハードルを下げる(UX改善)とともに、遠隔にて技術者がロボットの稼働状況や障害情報を把握する基盤作りにも取り組んできた。
その事により、農業を支援するサービス産業として、ロボットを活用した事業への参入を可能とする環境を構築し、農業経営者は従来の草刈機を購入する(所有する)から、年間で「草を刈るサービス」との契約を行う(利用する)選択肢が生まれ、地方での農業に関わる新たな産業の育成と、従来の農業従事者の作業軽減を行い農業の持続可能性を高めるものとなる。
こうした中で実機開発の技術的課題ばかりでなく、本機の運用をサービス事業として継続的に運用していくことについての新たな課題も明らかになってきたという。本会では、この成果を現地で披露すること共に、技術・ノウハウや既知の課題の開示を進めることで、広く、共同開発パートナーを募り、社会課題先進地でもある信濃町に農業支援ロボットやIoTなどの社会実装を加速させるものとするという。
開催概要
開催日時:2021年11月22日(月) 14時〜
開催場所:〒389-1314 長野県上水内郡信濃町穂波 圃場 地図
参加申し込み
*申込締切11月20日(土)