AI与信管理クラウドサービス「アラームボックス」を提供するアラームボックスは21日、伊予銀行が企業や自治体のHP、SNSや口コミサイトなどインターネット上に存在する定性情報を効率的に収集し、財務情報などの定量情報と合わせて融資判断の際に活用することを目的に、「アラームボックス」を導入したことを発表した。
これにより、定性情報の収集にかかる時間の大幅な短縮に繋がったほか、愛媛県外の営業店において、地域ごとの内情をふまえたタイムリーな融資判断が可能になったという。
金融庁は、2021年6月に発表した「2021事務年度 金融行政方針」の中で、地域金融機関はポストコロナの地域経済を支える要の存在であると言及し、足元の財務状況が良好でないベンチャー企業や再生局面にある企業であっても、将来性のある事業者に対しては、事業継続や発展の支援など経営改善への取り組みを支える役割を求めている。そのため、今後は財務情報などの定量的な情報以外に、インターネットやSNSに存在する企業の評判や口コミ情報など、定性情報やオルタナティブデータを重視した企業調査や融資判断が重要であるとされている。
伊予銀行は「潤いと活力ある地域の明日を創る」を企業理念に愛媛県を中心とした地域経済の振興に取り組んでおり、2017年から「DHD(Digital-Human-Digital)」モデルを軸としたデジタル変革を推進している。一方、取引先の与信管理や融資判断を行う際、定性情報の収集に関しては、対象企業への直接的なヒアリングなど属人化した手法での情報取得がほとんどであるため、担当者によって情報量や質が異なり、かつ作業負荷も高いため、取引先の継続的な企業調査や最新情報の把握に関する課題を抱えていた。また、伊予銀行は現在13都府県に事業所を構えており、愛媛県内と県外で把握している情報に差があることも課題の一つだった。
これらの背景から、属人的な手法から脱却し、デジタルを活用した定性情報の収集を可能とする仕組み構築を目的に、クラウド上から取引先を登録するだけで、対象企業の信用リスクや状況変化をAIが収集・解析し、情報を自動で受け取ることができる与信管理クラウドサービス「アラームボックス」の導入に至ったという。
各営業店から調査依頼があった企業を、本店の審査部が集約して「アラームボックス」に登録することで、登録企業に関連するSNSやホームページなどのネット情報、提携調査会社の情報、独自情報など様々な定性情報をタイムリーに取得できる仕組みが構築できた。また、届く情報は内容が解析され、概要や信用リスクの度合いが一見してわかるようになっているため、スムーズな融資判断が可能となり、取引先に対する継続的な与信の見直しが実施できるようになった。
これらにより、これまで属人的な手法やタイミングで実施してきた定性情報収集の自動化に成功し、大幅な時間短縮に繋がったほか、決算書など定量的な情報では融資判断が難しい企業に対しても、融資を検討することができるようになった。また、県内に比べネットワークが少ない愛媛県外の情報も適切に収集できるようになり、取引先の融資判断に活用する仕組みを構築できたことで、より多くの事業者を支援することが可能になったという。
ラームボックスは、これまで「難しい」「価格が高い」とされてきた与信管理業務をテクノロジーで変えていき、企業取引に関わる人々がリスクや不安から解放され、前向きに楽しく事業に取り組めるような環境をつくっていくとしている。