日立製作所(日立)は4日、日立が独自開発するAI映像解析技術で監視・警備業務を高度化するソリューション「Hitachi Multifeature Video Search」(MVS)において、2つの新機能を拡充し、提供開始した。
MVSは、これまで、全身の特徴を使って検索対象人物を高速に発見・追跡できる「高速人物発見・追跡ソリューション」として提供してきたもの。発見・追跡の対象範囲を人物だけでなく車両や荷物などにも拡大していることから、今回、海外市場で用いてきたMVSと同一名称で、国内市場においても提供開始する。
今回拡充した機能は、防犯カメラの映像から、特定の行動パターンをとる人物をリアルタイムで検知する「行動検知機能」と、荷物と人物の所有関係を認識する「荷物置き去り/持ち去り検知機能」。大規模な公共空間における喧嘩などのトラブル、置き引きや不審物などの早期発見が可能になる。
なお、阪神電気鉄道 (阪神電鉄)の協力のもと阪神甲子園球場において、MVSの実証実験を2021年10月から行っている。これまでの実証で、約9割の精度で検索対象人物を発見でき、事件や事故、迷子などの発生時において警備員による迅速な対応を支援できることを確認した。
MVSは、AI映像解析技術を活用し、数万人規模の映像データから、後ろ姿など顔の映らない映像からでも、性別、年齢層、服装など100項目以上の全身特徴を高速に判別して、約1秒で対象人物を見つける「高速検索」と、多数の防犯カメラから位置情報や撮影時刻を使って移動経路を追跡できる「リアルタイム追跡」を特長とするソリューション。ライブ映像と録画映像の双方を取り込み、大規模な公共空間における高効率なセキュリティ業務を支援する。新型コロナウイルス対策に向け、マスクの非着用者や発熱者などの検知・追跡をする機能のほか、人物にとどまらず、検索対象の「車両」を検知・追跡する機能など、ソリューションの強化を重ねている。
日立は、本ソリューションを通じ、駅や空港、球場や大規模商業施設などにおける、監視・警備業務のさらなる高度化や効率化を支援し、安全安心でレジリエントな社会生活の実現に貢献するとしている。