北海道大学、岩見沢市、日本電信電話 (NTT)、東日本電信電 (NTT東日本)、NTTドコモは16日、最先端のロボット農業技術に、第5世代移動通信方式(5G)、革新的ネットワーク技術IOWN*1を実現する技術の一つである複数ネットワーク最適活用技術や高精度な測位技術等を用いて、農機完全自動走行2に向け、通信や映像の途切れを防止する等、安定的で円滑な農機の広域自動走行とその遠隔監視制御を実現したと発表した。
北大、岩見沢市、NTT、NTT東日本、NTTドコモは2019年6月28日に産官学連携協定を締結し、最先端の農業ロボット技術と情報通信技術の活用による世界トップレベルのスマート農業およびサステイナブルなスマートアグリシティの実現に向けた研究、技術開発等を進めてきた。
これまで、農機からの高精細映像や監視センタからの発進・停止等の制御信号の安定的な伝送をめざし、5G等の高速・大容量・低遅延のネットワークを活用して実証を進めてきた。しかし農機完全自動走行対応には圃場間での移動も含め、遠隔地からトラクタやコンバイン等の農機をモニター等で監視、制御することが必要となる。
例えば、対象の農地が5Gのサービスエリア外であったり、その無線通信の特性上、遮蔽等の影響を受けて自動運転農機が必要な通信品質を得られなかった場合、遠隔地にある監視センタへ送信する監視映像が乱れたり、途切れたりすることにより遠隔監視の継続的・安定的な実施が難しい等の課題があり、その解決策として、複数のネットワークを安定的に切り替えるなどの対策が有効だという。
今後は、農機自動走行の安全性をさらに高めるため、衛星信号を用いた測位可能なエリア圏外でも農機自動走行を可能にする路面画像認識による測位補完技術の実証も行う。
また、ドローンや草刈・収穫ロボット等農機以外への遠隔監視制御対象の拡大や5Gや現行光ネットワークよりもさらに高速・大容量・低遅延なIOWN関連技術の導入を通じた、より多数の農機の遠隔監視制御、より広域での農業の自動化をめざす。
さらには、農業の生産分野にとどまらず、流通・販売・消費分野にまたがるフードバリューチェーンへと取り組みを拡大させるとともに、そこで構築した通信インフラを防災や健康等他分野での活用に広げる等、スマート農業を軸とした、生活に必要なさまざまなサービスのスマート化へとつながるスマートアグリシティの実現をめざすという。
これらの取り組みに加え、産官学連携のメンバーが主体となり、新たに農機メーカーのクボタや日立ソリューションズ、スマートリンク北海道等も加わったコンソーシアムを組成し、総務省の「地域課題解決型ローカル5G7等の実現に向けた開発実証等」、農林水産省の「スマート農業実証プロジェクト(ローカル5G)」事業も進めることにより取り組みを融合・深化させ、農業分野の課題解決、競争力強化に貢献していくとしている。
*1:1 NTTが現在検討している光ベースの革新的なネットワークの構想IOWN(アイオン)「Innovative Optical &Wireless Network」。