GRIPSは31日、アイカムス・ラボと Luominen Labらと共同で、PCR検査をはじめとした様々な研究・臨床現場で行われる分注作業を自動化する自動分注装置のコアモジュールとして、安価な卓上型ロボットアーム・Dobot Magicianを用いて実証機を開発したと発表した。
これは、国内外の研究・臨床機関の現場において、作業量の大きな割合を占める分注(ピペッティング)作業を自動化するための装置のコアとなる。分注作業は、膨大な作業量と正確性が求められることから作業者の大きな負担となり、課題となっている。
そこで同社は、分注作業を正確に繰り返す精度を持つ自動分注装置を開発することを通じ、繰り返し作業の負担を低減し、国内外の研究・臨床現場における生産性を改善に寄与することを目指しているという。
今回開発した自動分注装置のコアモジュールとなる実証機は、STEM教育向けロボットアームとして開発されたDobot Magicianを用いている。そのため、ロボットアーム自体は小学生から取り扱える高い操作性と省スペースを実現している。一方、繰返し精度±0.2mmの性能を有することから、産業用ロボットとしても国内外の製造現場にも導入が進んでいる。
また、分注を担うピペットには、共同開発のアイカムス・ラボの電動ピペット“pipetty Pro”をDobot Magician用に調整したものを採用している。同製品は、高精度な連続分注を実現する世界最小・最軽量のペン型電動ピペットとして国内の研究・臨床機関において採用されている。分注作業の制御、データのロギングを行うソフトウエアにより、作業・実験結果の正確性、信頼性が求められる製薬の研究開発領域、受託検査領域において活躍している。さらに、BlueTooth通信機能による遠隔制御により作業中のコンタミネーションを抑制することが可能。
これら2つの製品を組み合わせることにより、高精度な分注作業を安価に実現する自動化装置が実現できると考え、Luominen Lab 角田氏のもつ医療現場における新技術適用の知見から助言を得て今回のコンセプト実証機の開発に至った。今後はより汎用性を高め、ユーザーインターフェース(UI)の改善による処理速度向上、および実験データのトレーサビリティ向上に取り組み、製品化を進めて行くとしている。