福祉×ITのソーシャルカンパニーとして、障害福祉事業を全国に展開するデコボコベースは5月31日、支援における個別支援計画業務の最適化を目的に、人工知能チャットボット「ChatGPT」等の大規模言語モデルを利用したAIアプリケーションを、全国に展開する障害福祉事業所の一部で導入を開始したと発表した。
障害福祉業界の課題の一つとして、日々の支援記録や利用者へのヒアリング状況が手書きのメモで管理されるなど、アナログな部分が多いことが挙げられる。そうした中、同社では、「凸凹が活きる社会を創る。」というビジョンのもとに、「発達に凸凹があっても、社会の一員として自然に受け入れられ、活躍できる」社会を目指し、障害児通所支援事業から就労移行支援事業まで、自立に向けた障害福祉事業所を全国225拠点に展開しており、福祉DXの取組みにも注力している。
昨今では、児童発達支援「ハッピーテラスキッズ」や放課後等デイサービス「ハッピーテラス」、自立訓練(生活訓練) 「ディーエンカレッジ」、就労移行支援「ディーキャリア」などで働く支援員の事務作業を効率化し、利用者一人一人に最適化された支援を行うことを目的に、業務管理支援ツール「凸凹システム」を独自開発し、全国の事業所へ導入している。この「凸凹システム」を活用することで、支援内容の個別最適化に加え、各事業所から国民健康保険団体連合会への請求までの一元管理が可能。
そして今回同社では、一部の障害福祉事業所での支援業務において、人工知能チャットボット「ChatGPT」等の大規模言語モデルを用いたAIアプリケーションの導入を開始した。「ChatGPT」等の大規模言語モデルは、テキストの要約や翻訳など、活用範囲が広いことが特徴。そこで各事業所の担当者が勉強会を実施し、「ChatGPT」等の「要約」と「推論」に着目、支援業務における活用方法を模索した上で、導入を決定した。
支援の現場では、利用者の状況に応じた個別支援計画を作成し、他の支援員がその内容を確認、把握するため、論理的かつ定量的に情報を集約する必要がある。しかしこれまで支援員が利用者からヒアリングした内容は、支援員の主観で作成されやすく、構造化されていないことが業界全体の課題としてある。また個別支援計画書の作成、面談や支援の記録には、支援者のスキルによって所要時間やクオリティが異なる状況もある。
現在は一部の事業所で導入を開始しており、今後は支援員が様々な業務を行う場面で「ChatGPT」等を活用し、個別支援計画書の作成を始めとした事務的な業務の効率化を図ることで、利用者との対話やコミュニケーションなど、重要な支援業務にシフトさせ、一人一人に寄り添うことができる。また、OpenAI APIやその他の大規模言語モデルの活用について実践と改善を重ね、これまでに蓄積された支援記録をデータ化し、将来的には「凸凹システム」と連携することで、多くのケーススタディから支援員が利用者への最適な支援に繋げられるよう、全国の事業所で活用されるためのシステム構築を目指すという。
今後も同社では、福祉×ITのソーシャルカンパニーとして、「凸凹が活きる社会を創る。」というビジョンの実現に向けて、新たな挑戦を続けてまいくという。