帝国データバンクは20日、生成AIの活用状況などについてアンケートを行い、その結果を発表した。
生成AI(人工知能)の活用について尋ねたところ、【業務で活用している】と回答した企業の割合は9.1%(「利用に関する社内ルールあり」1.2%、「社内ルール等はない」7.8%。小数点以下第二位を四捨五入している)だった。また、【業務での活用を検討】している企業は52.0%(「活用を具体的に検討していく」14.2%、「現時点では活用イメージが湧かない」37.8%)と全体の半数を超えた。まとめると、生成AIを『活用・検討』している企業の割合は61.1%と、6割を超えた。
【業務での活用を検討していない】企業は23.3%(「今後も活用するつもりはない」17.7%、「業務での利用が認められていない」5.6%)だった。なお、「知らない」は4.3%、「分からない」は11.4%だった。
活用を検討しているが、現時点では活用イメージが湧かない企業の割合が4割弱と最も高く、企業からは「業務とのつながりがイメージできない」(機械・器具卸売)、「使用したいが、使い方がよく分からない。詳しい社員もいないのでしばらくは静観するしかない」(輸送用機械・器具製造)との声があった。業務で生成AIの活用を前向きに検討していきたいと考える一方で、現時点では自社の業務での具体的な使い方やイメージが湧きにくいという実態がみられた。
生成AIの活用状況について規模別にみると、【業務で活用している】企業は、「大企業」が13.1%、「中小企業」が8.5%、「小規模企業」が7.7%と、企業規模に比例して活用の割合が高まる結果となった。また、【業務で活用している】企業で、利用に関する社内ルールがある企業をみると、「大企業」が3.4%に対して、「中小企業」は0.9%、「小規模企業」は0.4%にとどまっている。
他方、【業務での活用を検討していない】企業のなかで、会社から業務での利用を認められていない企業でも、「大企業」(11.4%)が最も高く、「中小企業」(4.7%)、「小規模企業」(4.3%)の順となった。
「情報漏洩リスクが懸念されており、グループ全体で使用禁止になっている」(電気機械製造)など、規模の大きい企業やグループを中心に利用ルールが定められているケースが多い一方で、利用を認められていないケースも多いという傾向がみられた。
生成AIを『活用・検討』している企業に、活用したことがある、または活用したい生成AIについて尋ねたところ(任意・複数回答)、ChatGPTなどを含む『文章・コード生成AI(総合型)』が93.1%で最も高かった。次いで、『画像生成AI』(14.3%)、『音声・音楽・動画生成AI』(7.4%)が続いた。
このうちChatGPTの登場で特に注目されている『文章・コード生成AI』を具体的にみると、「ChatGPT」(オープンAI社、米)が87.9%で最も高かった。次いで、「Bard」(グーグル社、米)が27.2%、「Smartling」(Smartling社、米)が4.7%で続き、ChatGPTが他の生成AIより突出して高くなった。
本アンケートの結果、生成AI(人工知能)について、自社の業務で活用・検討すると前向きに取り組む企業は6割超に達した。しかし、全体の4割弱は活用の意向があるものの、自社の業務での具体的な使い方や活用場面が想定できておらず、生成AIはイメージが先行しておりビジネスでの活用にはもう少し時間がかかりそうだということが分かった。
また、活用したことがある、または活用したい生成AIサービスは何かと尋ねたところ、認知度の高さなどから「ChatGPT」が9割近くを占めてトップとなり、他の生成AIを大きく上回った。