クラフターは3日、同社が提供するChatGPTを庁内で安全に活用する業務効率化ツール「Crew」の実証実験で、長野県が取り組んだ内容を紹介した事例記事を公開した。
長野県では、ChatGPTを始めとするインターネット上で誰でも利用できる生成AIサービスは、業務の効率化に繋がることが期待され、必要に応じて活用すべきデジタル技術・サービスの一つとして認識されている。一方で、情報セキュリティに対する理解度や職員の業務に対する主体性が改めて問われる技術・サービスでもあると考えられている。
このため、活用に当たってはサービスの特徴を理解することが必要であると認識し、様々な生成AIサービスの検証を行ってきた。
その中で既存のサービスでは提供の少ない、組織内の複数のドキュメントを参照して文章を生成するサービスの活用を検討していたところ、「Crew」を検証することになった。
また、サービス提供元であるクラフターの親会社が国内の金融機関(マネックスグループ) で、既に同社金融機関にも導入されていることからセキュリティ面でも安心感があったことや、自治体が利用できるサービスの中では、「Crew」はユーザー管理を可能にする機能も豊富で、NGワードの登録など充実した基本機能が揃っている点などが評価され、実証実験に取組んだという。
今回の実験目的は、ドキュメントの内容を踏まえた生成AIの活用方法の模索をしたいとのことだったので、複数のドキュメントを参照して、新たな書類のドラフト作成や条例・規則を踏まえたQ&Aの文章生成等に利用された。
Crewの活用効果
印刷すると10センチもある会計関係の書類をアップロードし、【100万円以上の物品購入をしたいと考えています。とるべき手続を教えてください。】と「Crew」に質問する。そうすると、「Crew」から「物品購入をする際には、以下の手続きを取る必要があります。添付書類には、用途、品目、規格、・・・・・」と端的な回答があり、該当の手続きをリストアップすることができた。人間が長文の資料を読み込む代わりに、「Crew」に質問することで一次回答をざっと得ることができた。最終的なレビューは人間が行うが、大切なポイントを効率的に探し出すことに利用したという。
会計関係の書類については、読み込みや該当箇所を検討づけるのに数分、さらにより内容が複雑になると1時間以上かかることもあるそうで、その時間を、「Crew」だと数秒や数分で回答してくれる。加えて、参照元の条文を参照するのにも数秒〜数分で完了して、ものすごく時短になり、一人あたりの職員の「関連業務時間を従来比で9割」ほど省略できる見込みになるという。