アドビは16日、クリエイターの祭典である「Adobe MAX Japan 2023」を東京ビッグサイトで開催した。
Adobe MAX Japan 2023は約3600名の来場者を迎え、新型コロナウイルス以降の全面開催を日本中のクリエイターと共に祝った。
基調講演では、アドビ本社デザインおよび新興製品担当エグゼクティブバイスプレジデント兼CSO(最高戦略責任者)スコット ベルスキー氏が登壇し、Adobe Firefly Image 2 Modelの一般提供開始と多言語におけるテキストプロンプト理解の向上、クリエイティブツール「Adobe Express」と「LINE Creative Lab」の連携をはじめとしたLINEヤフーとの協業の具体的な施策と進捗について発表した。
また、今年8月に先行発表したnoteの記事投稿画面でAdobe Expressを使った見出し画像の作成機能の一般提供を16日から開始した。さらに、マンガにおける文字の表現力を高めることを意図してデザインした書体「貂明朝アンチック」を発表し、アドビは日本のあらゆる業界で活躍する、すべての人に「つくる力」を提供していくことを表明した。
基調講演の後には、アドビ製品を使用しているクリエイターたちが登壇した27以上のブレイクアウトセッションを行われ、製品の活用方法やAdobe Fireflyを使ったワークフローなど、最新技術を取り入れた使用方法を披露した。
セッション終了後にパーティ形式で行われたBeer Bashでは、開発中の最新機能を紹介する「Sneaks」を開催した。
Adobe MAX Japan 2023で発表した内容
■Adobe Firefly Image 2 Modelの一般提供を開始
Adobe Fireflyの初代モデルをベースに開発された「Adobe Firefly Image 2 Model」は、ユーザー指定のカスタムスタイルでコンテンツを生成する「生成Match」、写真スタイルの画像調整を可能にする「写真設定」、優れた結果を得るためにプロンプトの追加や言い換えを支援する「プロンプト候補」などの新機能が10月時点で追加されている。16日、ベータ版での提供を終え、Adobe Firefly Image 2 Modelは一般提供を開始した。一般提供開始に伴い、多言語におけるテキストプロンプトからの結果の出力の精度が向上し、文化的なコンテクストをより高い精度で理解した上で画像を生成できるようになった。商用利用にも安心なAdobe Fireflyは、アイデアの発想と表現の促進、時間の節約を実現する新たなアプローチを提供するだけでなく、各コンテンツがどのように作成されたかを明示するコンテンツクレデンシャル情報を自動的に添付しており、デジタルコンテンツに信頼性と透明性をもたらすという。
■LINEヤフーとの協業
16日、「Adobe Express」と「LINE Creative Lab」が来年2024年2月に連携することを発表した。広告の作成におけるクリエイティブ作成の工数削減や、コンテンツの質向上を実現したより効果的な制作環境を提供します。また、クリエイター支援に向けたセミナーやクリエイターコンテストを2024年3月以降順次実施する。
■Adobe Expressとnoteの連携
8月に先行発表していたPC版のnote上でAdobe Expressを活用して見出し画像を作る機能を、16日から提供を開始した。Adobe Expressは、数ステップの操作でバナー、チラシや動画などあらゆるコンテンツを作成するデザインアプリで、Adobe Expressには、Adobe Fireflyを活用した生成AI機能が搭載されており、「テキストから画像生成」では、文章を入力するだけでイメージに合った画像を生成することができる。
■貂明朝アンチック
16日、マンガのセリフに使える新しい書体 「貂明朝アンチック」を発表した。マンガの世界観を読者に的確に伝え、マンガにおける文字の表現力を高めることを意図してデザインした書体。「貂明朝アンチック」のフォントに含まれる文字と字体は、新しく定めた「Adobe-Manga1-0」文字コレクション仕様に準拠している。同仕様(及びそのサブセット)が業界標準として活用されることで、さまざまなマンガ用フォント間の互換性と相互運用性が向上することが期待される。
■開発中の技術「Project Sound Lift」、「Project 3D Edge Printing」を先行公開
16日、生成AIを使用して音声編集を加速化する「Project Sound Lift」や、本の小口部分に3D印刷を施す「Project 3D Edge Printing」が世界で初めて公開された。また10月にアメリカで開催されたAdobe MAXでも好評を博した、ウェアラブルデジタルドレスであるProject Primroseが会場で実演され、ファッションにおけるアドビの開発中の技術を日本のクリエイター向けに改めて紹介した。
■MAX Challenge結果発表
Adobe MAXのロゴを使って作品を作る「MAX Challenge」を今年も実施し、「Dream Bigger」をテーマに開催され、計780作品の応募があった。「グラフィック部門」では moーmoー氏、「モーション部門」では tsubasa.氏、Adobe Express部門ではみた氏/コラージュアーティスト氏がグランプリに選ばれ、多くのクリエイターの応募作品とともに会場で展示された。