新明和工業は1日、下水処理施設(主な対象:マンホールポンプ場)向けクラウド監視システム「マンポネット(クラウド)」に、新たにAI診断機能を付加するとともに、「注意報」機能を強化した高機能型維持管理システムを開発しサービスの提供を開始した。
今般開発した「高機能型」は、近年の通信インフラやインターネット通信技術の高速化、AI分析技術の発達に加え、ポンプメーカーである同社とアフターサービスを担う新明和アクアテクサービスとの技術協力により、これまで蓄積してきた技術やノウハウを数値化・デジタル化することで具体化したもの。
今回の開発では、こうした過去からの豊富な実績と経験を生かし、さまざまな運転データを用いてAIが連続的かつ継続的に診断を行い、しきい値判定も併用することで異常運転などの傾向判別に磨きをかけたという。
その結果、不具合発生の予見を事前に通知する「注意報」の精度が高まり、Web画面と通知メールを介して診断結果を確認できるため、顧客(管理技術員)は、リスクのある個所を予防点検できる点も特長。
予防点検により重故障を未然に回避することで、不具合個所への早期対処や緊急出動回数の低減、さらには機器の長寿命化といったライフサイクルコスト低減にも寄与する。また、これらの診断結果や注意報に対するトラブルシューティング(アドバイス表示)機能を新たに搭載したことで、診断結果に応じた点検確認方法や推定原因が確認できるため、経験知の少ない技術者のサポートや、人材育成・技能伝承の一助としても利用できる。
今後、下水道事業は、広域化や共同化がますます進むと考えられる。同社は、AIを活用した診断技術の品質をさらに向上させるとともに、維持管理業務の高効率化や関連製品の開発を通じて、マンホールポンプ場をはじめとする下水道事業の課題解決に取り組んでいくという。