サイバネットシステムは14日、AIを搭載した内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN(エンドブレイン)」の有用性に関する国際多施設共同研究の結果が、世界五大医学誌の中でも最も歴史のある医学雑誌『New England Journal of Medicine(ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン)』の姉妹紙で、主に臨床にフォーカスしたオンライン月刊誌『NEJM Evidence(エヌイージェイエム・エビデンス)』に掲載されたことを発表した。
EndoBRAINは、昭和大学横浜市北部病院消化器センターの工藤進英教授、名古屋大学大学院情報学研究科の森健策教授らのグループと共同でサイバネットが開発したソフトウェア群。事前に膨大な症例画像を学習した人工知能(AI)が、オリンパス製大腸内視鏡で撮影された内視鏡画像情報を基に、医師による病変の診断予測を補助する。
2018年12月、AIを搭載した内視鏡画像診断支援機器として国内で初めて医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)に基づいたクラスⅢ・高度管理医療機器(承認番号:23000BZX00372000)として承認を取得している。
EndoBRAINを使用することによって内視鏡医の腫瘍診断における特異度(非腫瘍を非腫瘍であると識別する精度)は83.1%から85.9%に上昇した。また医師が自信をもって診断できる病変数の割合はEndoBRAINを使用することによって74.2%から92.6%と大幅に向上した。なお、主要評価項目である感度については統計学上有意な差は認められなかった。
これらの結果から、内視鏡医がEndoBRAINを使用することで、治療が不要な非腫瘍を高い確信度で識別することが可能となりうることがわかった。不要なポリープの治療数を減らすことで、医師と患者双方の負担を大きく軽減させ、係る医療費削減に結びつくことが期待されるという。
・論文名:
“Real-Time Artificial Intelligence–Based Optical Diagnosis of Neoplastic Polyps during Colonoscopy”
(参考訳:「リアルタイムAIシステムによる大腸腫瘍の診断」)