日立システムズは18日、5Gネットワークの普及や映像技術の進化を踏まえ、従来のような専用回線や閉域網ではなく、公衆網(インターネット回線など)やクラウドを利用してコストを抑えつつも、特殊な暗号化処理技術により、高精細な映像をセキュアに伝送し、保管・検索・閲覧できる「セキュア映像通信サービス」を提供開始した。
本サービスは、5Gなどの次世代無線通信技術を活用したワンストップソリューションの一つとして、①特殊な暗号化処理を行うためのプログラムを搭載した監視カメラなどのエッジデバイス、②デバイスで撮影した映像を暗号化し、5Gやローカル5G、Wi-Fi6、sXGPなどのネットワークを通じてリアルタイムに伝送するシステム、③暗号化した映像の復号と保管・検索・閲覧が可能な映像管理システムなどをセットで提供するもの。
本サービスは、米国のパートナー企業が特許を取得している特殊な暗号化処理技術(AES256による暗号化)をベースに日立システムズ独自のプログラムをカメラに搭載することで、高精細な映像でも暗号化処理の遅延が少ない映像通信を可能とするもの。そのため、プライバシー保護が重要な場所での映像通信・管理においても、専用回線や閉域網などを利用せず、公衆網とクラウド、特殊な暗号化処理技術により、低コストかつセキュアな映像の伝送を実現できるという。
また、本サービスでは暗号化技術の提供だけでなく、映像の復号から保管・検索・閲覧が可能な映像管理システムや必要となる高精細カメラの調達などをワンストップで提供することで、運用面も含め、顧客のニーズに合った映像管理システムの導入を支援する。
これにより、公共・医療分野などでの活用が期待できる。例えば、現状は街中の電柱などに取り付けた監視カメラの映像管理において、映像を記録したカード型の記録媒体を人手で定期的に回収や交換を行っているような場合、本サービスにより、セキュリティを担保しつつも、映像データをリアルタイムに伝送する映像監視システムへ移行することができ、プライバシー対策や作業負荷、運用コストの低減を支援する。
また、救急医療の現場においても、ドクターヘリなどで救急搬送中の患者の様子や怪我・病気の症状に関する高精細な映像を、受け入れ先の病院にセキュアに低遅延で伝送することで、事前に受け入れ準備を整えたり、迅速で適切な診断・処置につなげたりすることが可能になる。
今後、日立システムズは、本サービスを拡販するだけでなく、日立の先進的なデジタル技術を活用したLumadaソリューションとの連携によるデジタルトランスフォーメーションの推進支援まで含めて、ローカル5Gワンストップソリューションとして、さまざまなサービスを展開予定。これにより、2025年度末までに累計25億円の売上をめざすとしている。