ノーコードで開発できるAI搭載型のチャットボットサービス「KUZEN(クウゼン)」を提供するコンシェルジュは15日、日本最大級の不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」を運営するLIFULL(ライフル)に「KUZEN」を提供し、社員からの経理や労務に関する質問への対応をチャットボットにした結果、従来発生していた社員からの問い合わせ対応時間を1年間で2199時間以上を削減したことを発表した。
LIFULLは、LIFULL HOME’Sを中核に空き家問題の解決に向けた「LIFULL 地方創生」や「LIFULL 引越し」「LIFULL 介護」など“暮らし”に関わるさまざまなサービスを展開している。
同社では、バックオフィス業務に関する情報が集約されておらず、管理本部の役割を担うグループ経営推進本部や人事本部、情報システム部等の担当部門がそれぞれで業務を管理し、各部門から社員へアナウンスをしていたため、『必要な情報がどこにあるかがわかりづらい』という課題があった。
このような課題を解決するために、LIFULLは2019年に社員からのバックオフィス業務に関する問い合わせに自動回答するAI搭載型のチャットボットサービス「KUZEN」を導入。これにより、社内のバックオフィス業務に関連するナレッジは集約され、社員はチャットボットに質問することで回答を得ることが可能となり、バックオフィス担当者の問い合わせ対応負荷は削減された。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、感染防止策としてリモートワークや直行直帰など企業内で新しい働き方が浸透したことから、社内業務のあり方自体が変わった。LIFULLは2019年にいち早くチャットボットを導入し社内問い合わせ対応の自動化を推進していたため、リモートワーク下でも非対面で社員からの問い合わせに適切に対応することができた。その結果、直近の1年間で2199時間の問い合わせ対応時間の削減を実現した。
リモートワーク下ではフェイスtoフェイスのコミュニケーションができないため、特に入社直後から在宅勤務となる新入社員は気軽に質問できる先輩がいない、社内の誰に質問すればよいかわからないという状況が発生する。
そのような状況下で質問が発生した場合は、まず「社内チャットボットに聞く」という選択肢が出来たことで、分からないこと・困ったことをすぐに解決することが可能となった。その結果、社員からは「社内FAQチャットボットに日々助けてもらっている」という声が多く寄せられたという。
これまで社内問い合わせに対応していた担当者の時間は、より付加価値の高い業務に割り当てられるなど、問い合わせをする側も受ける側も双方の生産性向上にも寄与する形となった。
DXを推進するITツールは、利用の定着化が重要となりるが、リリース直後のチャットボットに対するLIFULLの社員満足度は65%程度だった。満足度を上げるため、社員を巻き込みチャットボットに大量の質問を行いAIの回答の質を高めて行った。また、毎月の質問数や満足度、トップ10の質問をレポートにして社内の掲示板で公開するなど、社員がチャットボットの使い方をイメージしやすいような環境づくりや、運用担当が細かなチューニングを繰り返すことで社内の利用率・満足度向上につなげた。この結果、徐々に活用する社員が増え、2021年9月時点の社内調査では社員満足度は84%となっている。