モルフォグループにおいてAIの事業化を担う、モルフォAIソリューションズは22日、東京大学とともに、「デーヴァナーガリー文字OCRの実用化と文献データベースの利活用にむけた応用研究」に向けて、AI-OCRを活用した研究開発を開始したことを発表した。
モルフォAISは、2022年7月1日から大学図書館・地方図書館・自治体からのデジタル田園都市構想を背景としたデジタルアーカイブ事業や読書バリアフリー法対応のニーズを受け、市販AI-OCRソフトとして近代書籍対応の「FROG AI-OCR」を提供してきた。
今回、AI-OCRの開発や導入ノウハウを有するモルフォAISとサンスクリット文献学の専門的知識を有する東京大学が共同でAI-OCRを開発し、サンスクリット文献に使用されているデーヴァナーガリー文字のテキストデータベース化を加速させる研究に取り組んだ。
本研究「デーヴァナーガリー文字OCRの実用化と文献データベースの利活用にむけた応用研究」(JSPS科研費基盤研究(B))では、デーヴァナーガリー文字を読み取るための光学文字認識(OCR)ソフトウェアの開発と実用化を目指し、そのOCRを用いて読み取ったサンスクリット文献群のデータベースを利活用するための応用研究を行う。デーヴァナーガリー文字とは、ヒンディー語、マラーティー語、ネパール語などの現代語のみならず、インド圏の文化や歴史などについて多くの史資料を残すサンスクリット語の表記のための主要な文字として使用されてきたインド系文字の一つ。他の人文系分野同様、サンスクリット文献学の分野においても文献のデジタルアーカイブ化やテキストデータベース化は最重要課題であり、これまでも世界各国で様々なプロジェクトが展開されてきた。
しかしながら、これらのプロジェクトはいずれも手作業によるデータ化が中心であり、個々の研究者の多大な時間と労力を要している状況。
このような状況をふまえ、これまで手作業で行われてきたテキストデータ採取の方法を自動化するため、本研究では「FROG AI-OCR」のコアエンジンとして利用している国立国会図書館のNDLOCRを改良することで、デーヴァナーガリー文字のOCRテキスト化を可能とした。
現在は、その読み取り結果を検証してOCRの精度を改善する研究段階となるが、最終的には手作業での転記や修正作業の手間を大幅に削減することを目指している。
今後もモルフォAISは、産官学との連携により、多様な用途のAI-OCRを新たに開発していく予定だという。